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夏の食生活と糖尿病

[2024.08.01]

 

とうとう梅雨が明け、本格的な夏が到来しました。

夏になると、自然と汗をかいて体重が落ちて、血糖コントロールがよくなってきました、という方が多いかと思います。

その反面、夏バテぎみで、寝不足で、日中からだるく、食事もあっさりしたもの・氷菓子・さっぱりとした炭酸ソフトドリンクが増えてきました、という話もよく聞きます。

さらに今年は、寝付けないから夜中にオリンピックを見てしまい、気が付いたら明け方だった、なんて方もいるのではないでしょうか。

そもそも夏バテはどうしておこるのでしょうか?

そして、夏の食生活は糖尿病にどのような影響を与えるのか、ご紹介したいと思います。

 

①夏バテはどうして起こるの?
②夏の食生活で気を付けたいこと

 

①夏バテはどうして起こるの?

主に「自律神経の乱れ」が原因と考えられています。

もともと人間の体は自律神経が働くことで、血管を拡張・収縮させて汗の量を調整して、体温を一定に調節しています。

しかし30℃を超す夏の暑さから、急に冷房がよく効いた20℃前後の室内によって急な寒暖差が生まれ自律神経が乱れてしまいます。

その結果、体温調節が難しくなり、体のいろいろな機能が低下し、体調不良を起こしてしまいます。

例えば、不調のひとつが、食欲の低下。自律神経は胃腸の働きも制御しているので、自律神経が乱れると胃の働きが低下し、食欲不振につながります。

このほかにも、睡眠の質が低下して、同じように睡眠時間をとっても、眠りが浅かったり、途中で目がさめてしまったり…このような経験があるかと思います。

 

②夏の食生活で気を付けたいこと

夏バテをしてしまうと、午前中から眠くてだるくて、あっさりとしたそうめんなどの麺類や、甘くて冷たい果物やお菓子の食べる機会が増えてしまいます。

実はこのよくある食生活は、糖尿病コントロールに悪影響を与えてしまいます。

【1】炭水化物に偏った食事が多くなる

食欲がなくなると、あっさり・手軽に食べることができるそうめんやひやむぎ、冷やし中華などの麺類です。それも、たいてい1品で手軽に済ませてしまうことが多いかと思います。

このような食事は何が問題なのか。それは「炭水化物」に偏った食生活になってしまうからです。炭水化物は血糖値の上昇に大きく関係してしまいます。

また、たんぱく質やビタミンなどの摂取が不十分になります。その結果、体内のバランスが悪くなり、体調不良の原因となります。

対策としては、管理栄養士や医師が監修したさまざまレシピ本などが出版されておりますので実際のレシピなどをご紹介することいたしませんが、例えば、たんぱく質は、わざわざお肉を焼かなくても、冷ややっこなどの豆腐からも摂ることができます。また、ビタミンなどは、夏の野菜、トマトやゴーヤなどからも摂ることができます。

できるだけ、主食の麺類1品のみではなく、副食としてもう1-2品つけて頂ければと思います。

 

【2】甘くて冷たい果物やお菓子が多くなる

冷えたスイカや桃、そしてアイスクリームやかき氷を食べる機会が増えます。

くだものにはビタミンCなど必要な栄養素も含まれますので、ぜひ食べて頂きたいのですが、問題はその食べる量になります。くだものには多くの果糖が含まれています。これは2糖類に分類され、すぐにブドウ糖に分解されてしまうため、さきほどのそうめん(こちらは多糖類になります)よりもさらに血糖上昇が早くなりま

す。そして、適度な甘みと食べやすさでついつい食べ過ぎてしまいます。具体的には、スイカなら2切れ、桃なら1個で1日の目標となる果物の摂取量となります。

次に、アイスクリームやかき氷です。こちらは単糖類であるブドウ糖(狭義の砂糖)がふんだんに使われているため、さらにさらに血糖値が上がりやすくなります。よく、かき氷とアイスクリームならかき氷の方が健康的だと思って食べていました、と外来でお伺いすることもありますが、もちろん乳脂肪も入っている分アイス

クリームのほうが砂糖に追加して脂質も多いためカロリーが高くなりますが、砂糖の量を考えれば、どちらがよい、というということではありません。

じゃあ、アイスやかき氷はダメなのか!?となってしまいますよね。もちろん、多く食べないに越したことはなにのですが、やはり夏の味覚は楽しみたいものです。ですので、例えば最近コンビニやスーパーで発売されている、SUNAOシリーズなどをたまに食べる、とか、もなかアイスは半分にして2回に分けて食べるなど、工夫していただければと思います。


また、食生活ではありませんが、暑くなると外に出たくなくなってしまいます。

かくいう8月生まれの院長も、暑いのは苦手です(そもそもインドア派です)。

日中の暑い時間はさけて朝の時間のウォーキングや、冬の運動療法とも近いですが、自室で冷房をかけ涼しくした環境で、ラジオ体操や、YouTubeで紹介されている有酸素運動なども検討してみてください。


皆さんが、熱中症に、夏バテにならず夏を乗りきられますよう。

 

 

名取とおる内科・糖尿病クリニック
院長 鈴木 亨

 

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