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糖尿病とお酒の上手な付き合い方 -専門医の視点からみた無理のない飲酒習慣-

[2026.04.12]


 

 

とうとう4月に入り、お花見や歓迎会などで、飲酒する機会が増えてくるかと思います。
かくいう院長もお酒は強くないですが、飲むことは好きです。ウイスキーなどをよく嗜みます。
さて、今回は、飲酒と糖尿病に関して、患者さん・ご家族として知っておいてほしいポイントをわかりやすく解説いたします。

「糖尿病と診断されたら、お酒はやめなければいけませんか?」
これは外来で非常に多くいただくご質問です。

結論として、病状が安定している場合には、適切な量と飲み方を守ることで飲酒は可能なケースも多くあります。
ただし、アルコールは血糖値や代謝に影響を及ぼすため、医学的な理解に基づいた注意が必要です。

当院では、患者さまの治療内容や血糖コントロールの状態を踏まえ、個別に飲酒のアドバイスを行っています。

アルコールと血糖値の関係

アルコールは体内で主に肝臓で代謝され、その過程で糖代謝にも影響を与えます。

● 低血糖を引き起こす仕組み

アルコールが分解される際、肝臓の「糖を作る働き(糖新生)」が一時的に抑えられます。
そのため、以下のような条件では低血糖が起こりやすくなります。

  • 空腹時の飲酒
  • インスリン治療中
  • 血糖降下薬(特にグリメピリドなど)を使用している場合
  • 運動後や入浴後
  • 就寝前の飲酒

特に夜間の低血糖は気づきにくく、注意が必要です。

● 長期的な影響にも注意

飲酒量が多い状態が続くと、

  • 体重増加(内臓脂肪の増加)
  • インスリンの効きにくさ(インスリン抵抗性)
  • 脂肪肝の進行

などを通じて、血糖コントロールの悪化につながる可能性があります。

お酒の種類と血糖への影響

お酒の種類によって、血糖値への影響は異なります。

  • 血糖値が上がりやすい
     ビール、日本酒、チューハイ、甘いカクテルなど
  • 比較的影響が少ない
     焼酎、ウイスキー、ブランデーなど(蒸留酒)

ただし、どの種類であっても飲みすぎはカロリー過多につながるため注意が必要です。

飲酒量の目安(一般的な基準)

糖尿病の方においても、以下がひとつの目安とされています。

  • 男性:純アルコール約20g/日程度まで
  • 女性:その半量程度

例)

  • ビール500mL
  • 日本酒1合
  • ウイスキー ダブル1杯

ただし、これはあくまで一般的な基準であり、
年齢・体格・肝機能・治療内容によって個別に調整が必要です。

安全に飲酒を続けるためのポイント

日常生活の中で実践しやすい工夫をいくつかご紹介します。

① 食事と一緒に摂る

空腹時の飲酒は低血糖のリスクを高めます。
主食・主菜・副菜をバランスよくとりながら飲みましょう。

② 飲酒量とペースを意識する

短時間での大量飲酒は、血糖変動や体への負担を大きくします。
ゆっくり時間をかけて楽しむことが大切です。

③ おつまみの内容を工夫する

血糖コントロールの観点からは、

  • 野菜
  • 大豆製品(豆腐・納豆など)
  • 魚類

を中心とした内容がおすすめです。
揚げ物や脂質の多い食品は控えめにしましょう。

④ 就寝前の飲酒を避ける

夜間低血糖の予防のため、寝る直前の飲酒は控えることが望ましいです。

⑤ 血糖の変化を把握する

可能であれば、飲酒前後の血糖値を確認し、
ご自身の反応パターンを知っておくと安心です。

飲酒を控えるべき状態

以下のような場合には、飲酒は控える、または主治医とご相談ください。

  • 血糖コントロールが不安定な場合(HbA1cが高い状態など)
  • 糖尿病腎症・網膜症・神経障害が進行している場合
  • 肝機能障害がある場合
  • 体調不良時

院長からのメッセージ

糖尿病における飲酒は、「完全に禁止」か「自由に飲む」かの二択ではなく、病状に応じて適切にコントロールしていくことが重要です。

適量を守り、低血糖に注意しながら生活に取り入れることで、
無理なく治療を続けていくことが可能になります。

当院では、血糖コントロールの状態や治療内容、生活背景を踏まえ、
患者さま一人ひとりに合わせた現実的なアドバイスを行っております。

お酒との付き合い方について不安な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

名取とおる内科・糖尿病クリニック
院長 鈴木 亨

 

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